「日蝕」の原典を読む

【曲名】日蝕

【原典】マクベス

【書籍】新訳 マクベス (角川文庫)

【読了時間】2時間半程度

【読みやすさ】★★★★☆

【感想】

 チームBの最初の楽曲「日蝕」の原典である、シェイクスピアの四大悲劇の1つ「マクベス」を読みました。

 「マクベス」は戯曲であることから、本の内容は基本的に登場人物の台詞で構成されていました。そのため、改行が多く1ページ当たりの文字数が少ないので、さくさくと読めそうだと思ったのですが、劇独特の言い回しが壮大で美しいものの分かりにくく、また200を超える注釈が入っており、意外と読み進めるのに苦労しました。ただ、台詞の言い回しは、実際の劇で声の抑揚・感情が伴った状態であれば理解しやすいのだろうと思います。また、たくさんの注釈については、「実際はここで韻を踏んでいる」といった活字では伝わりにくい部分や時代背景等の知識を補完してくれ、読むことで「マクベス」への理解を深めることができました。

 話自体は短いので展開が早く、飽きずに読むことができました。また、読み進めることに苦労したと書きましたが、読み終わってみると、難しいのは言い回しだけで、ストーリー自体は分かりやすかったと感じました。

 

※※※以下、ネタバレ注意※※※

※※※ゲーム内ストーリー及び原典のネタバレを含みます※※※

 

【ブラスタにおける配役】

ミズキ マクベス

リコ  マクベスの影(原典:マクベス夫人)

ヒース 隠者(原典:3人の魔女)

藍   マグダフ

金剛  バンクォー

客   ?(なし?)

 

【ゲームと原典を踏まえた感想】

 ゲーム内のトークストーリーを読む限り、今回の公演は、原典との役の変更はありながらも、ストーリーに大きな変更はないように感じました。一方で、ゲームのストーリーと原典の「マクベス」がしっかりと重なる点があるように感じました。

 1点目は、チームPのショーをチームBがジャックするシーンで、原典においてマクベスが寝ているダンカン王を暗殺し、王の座を乗っ取るシーンを彷彿とさせました。

 2つ目は、ゲームのストーリー内において、マクベス役のミズキが、ステージジャックしたことに後悔はないものの、周りの反応に過敏になったり、気にしないよう努める姿が見られます。マクベスも、王になるため、王であり続けるために、障害となる人間を暗殺するものの、そのことが心に影を落とし、次第に精神に異常をきたしてしまいます。自身の欲望のために手段を選ばないところがあるものの、人情も持ち合わせているところに共通点があるように感じました。

 本公演の対決はチームPの勝利となりましたが、チームBがマクベスのように破滅するようなことなく、長く続いてほしいです。