「雷神」の原典を読む

【曲名】雷神

【原典】菅原道真

【書籍】菅原道真-学者政治家の栄光と没落 (中公新書 (2559))

【読了時間】10時間程度

【読みやすさ】★★☆☆☆

【感想】

 2020年正月イベントの楽曲「雷神」の原典である「菅原道真」に関する本を読みました。

 菅原道真の一生が丁寧にまとめられているほか、道真が詠んだ漢詩の抜粋がところどころに掲載されており、当時の道真の心情を知ることができる内容となっていました。

 新書は人生で数えるほどしか読んだことがなく難解な印象があり不安でしたが、思っていたより分かりやすく、また、1つの見出しにつき2,3ページ程度で短く話がまとめられていて読みやすかったです。漢詩には訳が付いているので、問題なく読み進められました。

 菅原道真についての知識はほぼなく、歴史上の人物というより学問の神様という印象だったのですが、本書を通して実在した人物としての菅原道真を知ることができ、勉強になりました。

 

※※※以下、ネタバレ注意※※※

※※※ゲーム内ストーリー及び原典のネタバレを含みます※※※

 

【ブラスタにおける配役】

配役不明

配役に関する内容を見つけることができず、分かりませんでした。

 

【ゲームと原典を踏まえた感想】

 「雷神」の原典について言及する部分をほぼ見つけることができず、原典とゲームを絡めた感想が書けないため、本の感想を中心となります。

 「雷神」は菅原道真の怒りを表現していることから、本来であれば菅原道真の祟りと言われた出来事など、道真死後のことが書かれた本を選んだ方が良かったのかもしれませんが、今回の本は道真本人の気持ちを知ることができそうで面白そうだと思い、選びました。

 この本を読んで意外に思ったのは、菅原道真の人柄です。優秀であり右大臣にまで上り詰めたものの太宰府へ左遷され、死後には怨霊になったと恐れられた人物なので、周りを寄せ付けない怖い人なのかなと想像していました。ところが本を読んで見えてきたのは、自分のやりたい仕事でなくても真面目に取り組む姿や、自身が誹謗中傷にさらされたときは落ち込み不安を感じている様子で、思ったより普通の人だなという印象を持ちました。そして、大宰府への左遷の経緯も、本を読む限りでは道真に非があるようには思えず、長年天皇のもとで真面目に働いていたことが報われない可哀そうな最期だったと感じました。

 この本1冊を読んだだけで知った気になってはいけないと思いますが、道真死後に起こった不幸や事故は道真の怨霊によるものであると結びつけているあたり、道真の左遷は道真自身やその一族を陥れるために行われたものであり、後ろめたい気持ちがある人がいたのだろうと勝手に想像してしまいました。

 菅原道真に関する時事を追うだけでなく、漢詩などから道真の人となりが感じられる内容となっていて、自分好みの内容で、とても面白かったです。