「華麗なる誘惑」の原典を読む

【曲名】華麗なる誘惑

【原典】椿姫

【書籍】椿姫 デュマ・フィス (著), 石川登志夫 (翻訳)

【読了時間】7~8時間程度

【読みやすさ】★★★☆☆

【感想】

 チームKの楽曲「華麗なる誘惑」の原典である、「椿姫」を読みました。

 「椿姫」は、ある男女のドラマチックで美しい恋愛物語でありながら、現代の価値観にも通ずる現実的な問題が2人に立ち塞がる内容となっており、この夢のような世界とリアリティのバランスが絶妙であるように思い、とても面白かったです。

 最近読んだ本の中ではボリュームがある方でしたが、和訳が分かりやすく読みやすかったです。

 

※※※以下、ネタバレ注意※※※

※※※ゲーム内ストーリー及び原典のネタバレを含みます※※※

 

【ブラスタにおける配役】

ケイ  アルフレード(原典:アルマン)

銀星  姫を囲う貴族(原典:N伯爵?)

吉野  傍観者?(原典:わたし ※アルマンから椿姫の物語を聞く立場)

ソテツ アルフレードの兄(原典:アルマンの父)

ギィ  椿姫を紹介する貴族の友人(原典:ガストン)

客   椿姫(原典:マルグリット)

 

 今回スターレスの公演で原典となった「椿姫」はオペラ版でしたが、私が今回読んだものはオペラ「椿姫」の脚本の原作となった小説「椿姫」だったため、登場人物の名前が異なっていました。オペラ版の配役の名前は分からないので、ゲーム内で解説されたとおりの表現で記載しました。括弧内は、私が読んだ小説「椿姫」において対応すると思われる登場人物名を記載しました。

 

【ゲームと原典を踏まえた感想】

 上記の通りショーの原典ではない小説版を読んだため、原典やショーに関する話が出てきても理解できない部分があり、せっかく読んだのに…ともどかしく少し残念な気持ちです。ただ、吉野と銀星が「乾杯の歌」のシーンが良いと言うので、オペラ版が気になります。

 ゲームと原典を踏まえた感想としては、原典「椿姫」は高級娼婦のマルグリットと青年アルマンの恋愛物語であり、華やかなシーンが多いため、チームKに似合う物語だなと思いました。また、公演曲「華麗なる誘惑」を聞き直しましたが、チームKらしく華やかで格好良い曲であるとともに、アルマンのマルグリットに対する並々ならぬ好意が歌詞に反映されているように思い、原典との繋がりを強く感じました。とはいえ、物語ではアルマンの格好良いシーンはあまりないので、原典を読んで抱いたアルマンのイメージにしては「華麗なる誘惑」も藤田玲さんの歌声も格好良すぎます。そもそもケイがアルマンっぽくないので、スターレスのショーにおけるアルマンはきっと原典とは違った雰囲気のキャラクターになるのだろうなと思います。

 また、ゲーム内ストーリーでソテツとギィが、この公演には「悪役がいない」という話をしていますが、この「悪役がいない」という点が「椿姫」の重要な要素の1つであるように感じました。2人で穏やかに生活したいと願うアルマンとマルグリット。それに対し、息子のため家族のために別れさせようとするアルマンの父。アルマンの父の言い分に理解を示し、潔く身を引くマルグリット。突如姿を消したマルグリットに対し、深く愛していたが故に復讐を誓うアルマン。誰も悪人ではないし、むしろ相手の幸福を願って行動をしているという点が、物語をより悲しくドラマチックにしているのではないかと思いました。

 原典を読んでから感想がまとまらず、この記事を書くのに時間がかかってしまったのですが、「椿姫」面白かったです。